労働保険の短所
労働保険は、企業の社員が勤務中に事故や怪我に遭遇した場合、勤務先にかわり被災した労働者に対して保険を支払う制度のことです。現代は製造業でもロボットなどの機械化が進んでいますが、そうした状況でも一部の業種では人力で作業を行う業種もあり、こうした業種を中心に労働災害がおきている現状があります。そのため、こうした労働災害が起きた場合には、労働保険は非常によい制度として位置づけられています。
一方で、労働保険にも短所があります。そもそも労働保険はその保険費用の一部を事業主が負担しています。また、一定規模以上の事業所では加入が義務付けられているため、その事業主は、経営状態が悪かったとしても、必ず労働保険に加入しなければならず、労働保険の加入が経営に悪い影響を及ぼす可能性があります。
特に中小企業や零細企業は景気に左右される確率が高く、そうした企業では労働保険の保険料が負担になる時期もあります。労働保険の支払いのために、会社が倒産すれば、その会社の従業員は路頭に迷ってしまいます。それ以外の短所としては、労働保険に加入していることから、事業主が安全対策に力を抜いてしまうことがあります。
つまり、仮に労災事故が起きたとしても、保険金を支払ってくれるため、更なる費用負担になる労働者への安全対策をおろそかにする可能性があります。そうならないためにも、労働者で団結をして、事業主へ申し入れを行うなどして、常に危機意識を持たせることが大切です。